株式会社 大丸松坂屋百貨店
実店舗での広告効果を可視化!楽天のデータとシングルIDで実現する、オンライン・オフライン統合施策
- 認知
- 興味関心
- トライアル・購買促進
- オウンドメディアでの購買
- 店頭での購買
- リピート・ファン化
株式会社 大丸松坂屋百貨店
株式会社 大丸松坂屋百貨店
本社 営業本部 営業企画部 部長
販売促進・広報担当 ※取材当時
金津 智明氏
株式会社 大丸松坂屋百貨店
本社 営業本部 営業企画部 スタッフ
販売促進・広報担当
高瀬 守生氏
楽天ペイメント株式会社
コンサルティング営業部
専門店コンサルティンググループ
アシスタントマネージャー
綿谷 和真
楽天グループ株式会社
マーケティングパートナー事業
広告営業部
インダストリー営業課
第一営業グループ
佐藤 聖
― 楽天とのこれまでの取り組みについて教えてください。
綿谷:まず、楽天ペイメントからお話しさせていただきます。弊社は2014年10月に、「楽天ポイント」が街でも使える・貯まるサービスである「楽天ポイントカード」を開始し、大丸松坂屋百貨店様に百貨店業態として初めて導入いただきました。
大丸松坂屋百貨店様は、特に若年層顧客の新規獲得に課題感があるとのことでしたので、若年層を対象にした施策を実施しました。具体的には「楽天ポイントカード」を導入いただき、「楽天ポイント」による購買定着化、「楽天エコシステム(経済圏)」からのユーザー集客、特に若年層の集客を試みました。
金津氏:楽天さんとの取り組みの中で、「楽天ポイント」の関与売上が伸び続けていて、そういう意味では弊社にとって楽天さんの存在感が増しているといえます。当社がリーチしきれていないお客様を取り込めている実感もありますし、それが他の施策にも波及できているという点で、発展性も感じています。
高瀬氏:私はデジタルマーケティングを担当しており、楽天さんとは広告施策でご一緒させていただいております。広告を届ける顧客セグメントの作成、配信、結果検証のどの場面でも、有用性と有効性を十分に感じています。
デジタル広告は、アナログ広告と比べて広告成果(インプレッション、クリック数/率、コンバージョンなど)が見えやすいと言われていますが、特に実店舗の購買に対するデジタル広告の効果測定に限界を感じていました。
また、サードパーティクッキーの問題もあり、自社だけでなく他社のファーストパーティデータも最大限に活用すべきと考えました。
そこで日本最大級の「楽天市場」があり、会員数も多く、「楽天ポイントカード」でお取り組みをさせていただいている楽天さんと、広告施策でもご一緒したいと思いました。楽天さんが蓄積するデータを広告に活用できれば、オンラインとオフラインを統合した施策や、より高度な効果測定と検証も可能ではないかと考え、こちらから綿谷さんにお声がけして担当者につないでいただきました。そこで期待以上のお話ができたということです。
綿谷氏:これまで「楽天ポイントカード」として年間8回程度、大丸松坂屋百貨店様のアプリ限定施策を実施することで「楽天エコシステム」からユーザーを誘導し、大丸・松坂屋アプリのダウンロード獲得においても全体の3割近い数値に寄与させていただいています。
さらに高瀬さんから広告の話をいただき、当社の強みである楽天IDを活用することで、ウェブ広告に触れられた方が、店頭で購入に至ったかを精緻に検証できる点をお伝えさせていただきました(注1)。
高瀬氏:今までは、広告からの流入の新規率などを見ながら、「認知拡大できたであろう」と推測したり、来店測定ができる施策などを活用し、「○人来店している」ということまでは見えていましたが、それが「どれだけ購買につながっているか」という点は仮説でしかありませんでした。実店舗購買に対しての広告効果は、オンラインストアと違い輪郭がぼやけていました。
実店舗での施策は、オンラインストアのように広告に触れて、見て、サイト訪問いただき、お買い上げいただけたかどうか可視化できないんですよね。ECも難しくなってきていますが。
そのため、多様で信頼できる「楽天ポイントカード」の膨大なファーストパーティデータから顧客をセグメントし、ウェブ広告に触れた方が、店頭にお越しいただき、お買い上げいただけたという計測ができたことはすごいと思いました。これは事前にわかっていたものの、驚きました。
佐藤:ひとつのIDでデータ計測ができ、広告効果をしっかりとクライアント様に提供できることが、楽天の広告の強みだと考えています。
また、オンラインとオフラインを越境して計測が可能なことも特徴のひとつで、オンライン広告を見た人が実店舗で購買したかどうかを、「楽天ポイントカード」のデータにより計測できることは、具体的な成果につながっていると思います(注2)。
― 大阪・心斎橋店ではどのような施策を実施されたのでしょうか。
佐藤:大丸松坂屋百貨店様の心斎橋店のリニューアルに合わせて、「30キロ圏内の商圏ユーザー」と「大丸心斎橋店で『楽天ポイントカード』を提示して購買後、1年以上提示履歴がないユーザー」でそれぞれセグメントし、運用型広告「RMP - Unified Ads」を活用して広告を配信しました。
「RMP - Unified Ads」は、楽天グループのサービスの広告枠に横断的にバナー広告を配信(掲載)する商品(注3)で、「楽天エコシステム」の中にいるアクティブなユーザーにリーチできます。今回の施策は、心斎橋店のリニューアルについての認知拡大が目的だったため、あえて細かいセグメントは行いませんでした。
高瀬氏:結果からお伝えすると、ROAS(広告費用対効果)で3,800%を超える非常に高い数値が得られました。改めて「オンラインストアのように数字がとれるのか」と素直に嬉しかったです。これまでは効果が可視化できておらず、悔しがることすらできない状態だったからです。
実際に数字を見せてもらって、効果を可視化でき、広告出稿に対して社内でしっかりと評価されたのが第一ですし、その数字もすごくよかったので満足感がありました。
高瀬氏:また、効果測定が素晴らしいだけでなく、セグメントの精度も高いです。別の施策になりますが、ランドセルの施策を考えていました。ランドセルのセグメントって難しいんです。基本的には「今年度6歳になるお子さんをお持ちの親御さん」が購買するからです。一つ上でも下でもターゲットからは外れてきます。
それで「5年前くらいに『楽天市場』でオムツを購入しはじめたユーザーをセグメントできますか」と相談したところ、「高瀬さん、それできます!」と即答いただき感動しました。
その時に感じたのが、楽天さんはデータの規模だけではなく質も高いのは、歴史があるからだということです。EC上で培ってきた歴史があり、他の広告ではなかなかできないようなことも楽天さんだったらできると実感しました。
佐藤:大丸松坂屋百貨店様には、個店だけでなく全体としても、多岐にわたるデータを活用いただいています。去年は、おせち、お歳暮、バレンタインの全社を挙げてのシーズナル施策として、ディスプレイ広告を実施しました。その時は「楽天市場」のデータも活用して、関連商品を見ているユーザーに配信しました。直近では、「楽天ふるさと納税」のセグメントを使ってお中元の施策を行い、そこでは高収入層のユーザーを対象にしました。
このように、様々な切り口でセグメントすることによって、そこでの示唆や分析を次の施策に生かしていくというPDCAサイクルを1年かけて構築できました。今後、より効果を上げていくことができると確信しています。
高瀬氏:まさにPDCAを回しやすいと感じていて、「これでリフトアップが見られるのであれば次はこうしましょう」と具体的な話がしやすいので、やりたい施策がたくさんある状態です。
こういう数字が出たこと、分析ができたことは社内でも胸を張って言えることですし、今後の横展開という点では、次は名古屋店で広告効果を上げていくため、今までのデータを活用させてもらおうと考えています。
佐藤:楽天の広告は「楽天ポイント」と相性がいいので、次回の施策でもシナジーが生まれるのではと期待しています。
― 今後、楽天に期待することがありましたら、教えてください。
高瀬氏:実際に進めているのは「楽天インサイト」での施策です。当店に対して既存・離反・新規の顧客セグメント、広告に対しての接触・非接触といったデータまで活用してインサイトを伺うことができると聞いています。
ここまでのデータが揃うと具体的な施策のイメージが湧いてきていますし、実際に数字が出てくるとよりPDCAを回しやすくなるのではと期待しています。佐藤さんからご提案いただいた通り、「楽天ポイント」のインセンティブ施策はまだ実施していないので、やってみたいと考えています。
金津氏:私は、認知の拡大という点を重要視しています。その上で、適切にセグメント分けができ、かつ大きな効果が見込める手法があれば、非常に有効ではないかと思います。媒体ごとに特性が異なるため、例えば「YouTube」やエンタメ要素を取り入れた「Instagram」などにおいて、コンテンツの質をしっかりと高めていくことで、認知の獲得だけでなく、購買行動にもつなげていけるのではないかと考えています。とはいえ、それぞれのチャネルで適切な使い分けが必要となるため、その運用がうまく実現できれば理想的だと思っています。
佐藤:これからも購買データを活用して、「RMP - Unified Ads」に限らず、幅広いソリューションをご提供していきたいと考えています。
また、大丸松坂屋百貨店様が経営戦略として打ち出されている「大丸・松坂屋アプリダウンロードの新規獲得」「店頭での高額購買者へのロイヤルティアップ」に対して、店頭における楽天会員様の購買データを活用し、より効率的にスケールを拡大できるよう努めていきます。
金津氏:今後、認知の「量」に加え、どのような経路や手段で認知されたのかという「質」も重要だと考えています。なぜお客様が当社に関心を持ち、どのようなきっかけで商品に興味を持ち、最終的に購買に至ったのか。この一連のプロセスを丁寧に分析し、把握することが、今後のマーケティング戦略において非常に重要だと思っていますし、一気通貫で施策を行える楽天さんなら実現できると考えています。
(注1)ユーザーの許諾を得られている場合のみ
(注2)本施策の実施には、「楽天ポイントカード」加盟店であることが必要です。
(注3)取材当時。2025年10月現在は、楽天グループサービスの広告枠に加えて、外部提携メディアに配信が可能です。
株式会社読売広告社
日能研本部
日清オイリオグループ株式会社