Rakuten Marketing Platform が目指してきたこと
Rakuten Marketing Platform(以下RMP)は、楽天が提供する、ユーザーの消費行動の全ての段階に対応するフルファネルのマーケティングソリューションです。私たちは、RMPを通じて楽天グループが蓄積する購買データをソリューションとして広告主の皆様にご活用いただき、できるだけ簡単により広く使っていただけるプラットフォームを目指してきました。
現在、楽天は、国内EC流通総額4.5兆円(注1)分のオンラインの購買データを蓄積しています。また、市場規模としてまだまだ圧倒的に大きなオフラインのデータも、ユーザーが店頭で「楽天ポイント」を貯め、使うごとに蓄積されています。
一方で、ヨーロッパのGDPR(一般データ保護規則)やアメリカのCCPA(カリフォルニア州消費者プライバシー法)に続いて、日本でも来年から本格的に改正個人情報保護法が施行されます。楽天全体ではもちろんのこと、RMPでは広告事業としてデータをどのように活用・収集・蓄積するのか透明性を持って示していかなければならないと責任を強く感じています。
楽天では情報セキュリティとプライバシーを最重要課題とし、日本企業としては初めてEUデータ保護機構からBCR(Binding Corporate Rules:拘束的企業準則)の承認を取得しました。また、広告審査体制として差別や不適切な表現を看過しないための厳格な基準を設け審査を行っています。
RMPのソリューションをいくつかご案内させていただきます。
まず、楽天のデータ解析部門と共同で開発した「Rakuten AIris」では、楽天が蓄積しているユーザーの購買データや検索・サイト訪問履歴を含めた消費行動のデータを元にユーザーを可視化してAIの拡張技術を駆使し、潜在購買層にターゲットを絞ったマーケティングが可能です。ごく少数、例えば100人の消費行動から10万人の潜在購買層を見つけ出すことができるのです。
次に、「楽天市場」の検索連動型広告である「RMP - Sales Expansion」は、画期的なEC拡販ソリューションです。従来、各店舗様に使っていただいていた広告手法をメーカー様に公開することによって、ユーザーが入力した検索ワードから、実際にその商品が販売されている店舗様への誘導が可能となりました。
楽天の場合、オンラインで配信した広告をどのような層が見たのかを把握することができます。そしてオンライン広告を見た人たちの購買行動から、それがいかにオフライン(店舗)での購買に有効かを計測することができます。これは究極のマーケティングソリューションではないでしょうか。
できるだけ広くデータをご活用いただくために広告代理店様と開発したソリューションもあります。例を挙げると、株式会社電通様・株式会社電通デジタル様との協業で広告配信プラットフォームと楽天のデータを活用してセグメント化する手法です。
例えば、ある商品を購買したことがあるユーザーだけに広告を見せることも簡単にでき、それを楽天だけでなくFacebookやGoogleなど一般的なプラットフォームに配信することが可能です。これは主として電通様・電通デジタル様に販売・運用していただき、楽天はデータの分析(注2)とプラットフォームの開発といった分担でサービスを提供しています。
一つ目の事例として、キッコーマン飲料株式会社様との取り組みを紹介させていただきます。
「つぶ野菜」「リコピンリッチ」シリーズは、一度飲むと確実にリピートにつながるようなキッコーマン様の自信作です。新商品はまずはお客様に試していただくことが重要ですが、このコロナ禍で試飲や試食などの店頭キャンペーンができません。そこでレシート画像を送付すると「楽天ポイント」を獲得できるサービス「Rakuten Pasha」を活用し、実際に店舗で「つぶ野菜」「リコピンリッチ」シリーズの商品を購入するとポイントが付与されるキャンペーンを実施しました。
この施策を通してPDCAサイクルが実現したと認識しています。ユーザーの購買行動を把握し、購買者に再度クーポンを送る、広告を見ていただくなどしてリピーターの育成までが可能となったのです。
マーケティングにおいて獲得単価は重要なポイントですが、結果的に従来手法より安価にトライアルユーザーを獲得することができ、「つぶ野菜」シリーズにおいては新規率90%という今まで経験したことのない数値を出すに至りました。