私が楽天に感じた可能性
購買データを利用したデジタルマーケティングが、ようやく最近になって実現してきました。
オンラインで完結するデジタル広告のビジネスがスタートした当初、すべてのマーケティングが数値でわかるということは非常に画期的でした。その後、CPC(Cost Per Click)広告などを中心に発展し、クリック数やコンバージョンなどが測定されています。しかし、はたしてこのデジタルマーケティングがどれだけ購買につながっているでしょうか。私はデジタル広告に関わり続けて20年以上になりますが、忸怩たる思いを抱えていました。
購買データを使ったマーケティングを大きくしていきたいと三木谷から打診があり、私が楽天に参画したのは一昨年のことです。当時、すでに楽天には出店店舗を対象とした広告ビジネスで600億円以上の売上がありました。一方で、楽天に出店していない広告主からの広告は、ほとんどありませんでした。これを購買データを使って大きくしたいと。楽天には、「楽天市場」を通じたオンライン上の購買データはもちろんのこと、取扱高では日本一の「楽天カード」や「楽天Edy」、「楽天ポイントカード」といったオフラインでも使えるサービスが多くあります。これらの購買データとインベントリ、そして1億を超えるIDを使えばクロスデバイスもでき、広告事業としてより大きなビジネスができる―、私はそう確信したのです。