オンライン購買情報はID基盤と繋がることで価値を生み出す
楽天を含むインターネット上の様々な購買アクションを行う会社の購買情報やIDには、購入された商品を自宅にお届けするため、ユーザーの住所情報や、正確な年齢なども含まれています。そのような正確な情報に基づいたマーケティングが、昨今グローバルなトレンドでもあり、楽天が様々な形で皆さまのプロモーションのお手伝いをしていくことに繋がっていくと考えています。
例をいくつかご紹介いたします。
フルファネルにおいて、テレビなどで認知をしたユーザーが最終的に購買を含めたアクションをするところまでは、一部データが蓄積できるようになってきています。しかし本当の意味で、「接触したユーザーが最初に何をした」ということを追うのは、今まで実現不可能でした。
ただこれからは様々なメディアがデジタル化していくため、ID と結び付けた形でユーザーに体験を提供できるようになると計測が可能になります。アメリカなどではすでに始まっていますが、恐らくそんなに遠くないタイミングでテレビ CMも「このユーザーにはこの CM を当てよう」というようにダイナミックになると予想されるため、私たちも準備を始めております。
次に、購買計測を活かした次世代型サンプリングです。
こちらも「Rakuten Pasha」を介することでターゲットを明確に設定できるようになるため、自分たちが調べたいユーザーに対してサンプリングを行うことができます。そしてその反応をデジタル上で様々な施策によって、場合によってはリアルタイムに測ることも可能になってきます。
「Rakuten Pasha」は今年2月に始まりました。規模をこれから大きくしていくという段階ではありますが、ユーザーに「トクダネ」と呼ばれるクーポンを取得して該当商品を購入していただくことで、今後10万個以上のサンプリングや販促を行うことが可能になると考えています。
例えばコンビニエンスストアやスーパーなどでの販促施策に必要な、具体的な金額、具体的な場所など、これまで難しかった店頭販促のデータも、デジタルとオフラインの統合によって分析できるようになってきています。
さらに、本当の意味でユーザーを結びつけることが困難であることにより真の顧客理解が難しかったクロスチャネルにおいても、シングルソースであるIDであれば明確にこれを獲得することが可能になります。
これも楽天がEコマースにおけるデータを蓄積し、かつそのデータにID をベースにしてユーザーを結びつけることができるからです。
この図は、「Rakuten Pasha」で獲得したクーポンを利用してオフラインで商品を購入したユーザーは、オンラインでも類似した商品を購入してくれるということを示しています。
日本のオンラインの市場規模は10パーセントに達していません(※1)。つまり90パーセント以上がオフラインのデータで占められています。
私たちはオンラインとオフライン双方のデータを蓄積していますので、明確にユーザーをマッピングすることができます。その上で、「すでにファンであるユーザー」、「競合側の商品をオンラインで購入しているユーザー」など、オンライン上でオフラインにおけるユーザーの行動を可視化することが可能になりつつあります。
※1:経済産業省 商務情報政策局 情報経済課 「平成29年度 我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)」,2018年,p.6
話は少し変わりますが、この領域に関してはAI という存在がつきものです。楽天ではAIの分析をするメンバーが200~300名ほど在籍しています。
様々な実在ユーザーのクラスターが分析されていますので、IDをベースに、皆様からお預かりするデータ、例えば「『Rakuten Pasha』のサービスを提供して集めたデータ」や「実際にリサーチを行ってユーザー特性を集めたデータ」というようなものを使い、ユーザーの拡張やターゲットに対する広告販促活動を行っていくことができます。
これはオンラインに限った話ではなく、タッチポイントがオフラインの場合は、ダイレクトメールとして商品を買い取る際の「同梱」や「同封」という形でコミュニケーションが可能です。
今後のオフラインデータの活用としては、「Rakuten Pasha」の認知を高めた上で、「トクダネ」もしくは楽天のエコシステムの中でウェブサイト上のランディングページを作っていただくことなどを構想しています。もちろんそれだけではすべてのユーザーを網羅できないため、併せてコンビニエンスストアやドラッグストア、スーパーなどに関わる様々な流通の方たちとも商品の連携を始めています。
また決済のタイミングにおいても、当社が展開している決済システムを通しユーザーの分析を可能にできるよう準備しており、オンラインの購買データだけでなく決済の情報も蓄積している楽天グループだから可能になる、オフラインデータの活用構想を準備しています。