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Rakuten Pashaが可能にするオムニコマースの世界

楽天グループ株式会社 メディア事業 事業開発部
オフラインPPAP開発課 シニアマネージャー
山口 高志

新サービス「Rakuten Pasha」

 楽天は、オンラインとオフラインのデータを連携させることで、より深い顧客理解へつなげていく取り組みを推進しています。そんな中、2019年2月に提供を始めたのが「Rakuten Pasha」。オフライン購買の前の接点を創出し、オンラインとオフラインをつなぐ基軸を提供するサービスです。

 さまざまなメディアに掲載され、3月には経済番組のレシート特集でも取り上げられるなど、非常に注目されています。

 

Rakuten Pasha-レシートをPasha(パシャ)っと送ろう!。

 

 

「Rakuten Pasha」のサービス概要

 「Rakuten Pasha」は、レシートをパシャっと撮ることで、「楽天スーパーポイント」を獲得できるサービスです。「トクダネ」というクーポンを事前に獲得する点、ユーザーがどこで購入するかは問わない点が特徴です。

 「Rakuten Pasha」は、ユーザーがささやかなおトク感を味わい、買い物の際にわくわく感を楽しめるサービスです。ユーザーが毎日クーポンを見たくなるよう、様々な工夫を施しています。例えば、「トクダネ」は獲得してから3日で消失する設定にしています。一度手に入れたクーポンが消えるとつい損した気分になる人間の心理を利用して、購買促進につなげています。

 

レシートをPashaっとすれば楽天ポイントがもらえる

 

 

「Rakuten Pasha」 2つの利用シーン

 「Rakuten Pasha」の、2つの利用シーンを紹介します。

 まず、チラシとしての利用です。事前に「Rakuten Pasha」でクーポンを入手し、その後店舗に行って対象商品を購入する。つまり「Rakuten Pasha」が、来店前に購入を決める接点になっているケースです。

 次に、店頭POPとしての利用です。「Rakuten Pasha」が、来店前ではなく店頭での購買の判断に影響を与える接点になっているケースです。

 このように、「Rakuten Pasha」は、来店前と来店中、両方の場面において購買判断の接点を自然に設けることが可能です。

 

購買判断に影響を与えられる成果報酬型広告

 

 

購買過程を補完するデジタルマーケティングを可能に

 クライアント側から見た「Rakuten Pasha」のメリットは、設定して早ければ3日、基本的には1週間以内に広告配信ができる点、そして成果報酬型である点です。

 また、「Rakuten Pasha」の取り組みを通じて、オンラインの情報とオフラインの購買情報を連携させることで、広告効果がどのように起こったかを明らかにしてPDCAを回していくことが可能です。まだまだオフラインとオンラインの情報が分断されている現状において、「Rakuten Pasha」は新たなマーケティング環境を実現できると考えています。

 

 

購買起点だから提供できる3つの特徴

 「Rakuten Pasha」は、「どこで買ったか」という決済データではなく、「何を買ったか」という購買データを起点にサービスを提供します。また、オンラインとオフラインをまたいだ消費者の行動を分析できる環境をご用意しています。

 オンラインの当たり前を、オフラインにおいても提供するのが私たちの役割です。その観点において、「Rakuten Pasha」の3つの特徴をご紹介します。

 まず、顧客理解です。「Rakuten Pasha」は、購買情報を通してユーザーとクライアントを直接つなぎます。購買だけでなく、「トクダネ」の閲覧・獲得といった手前の行動、さらには簡易アンケートの提供により、これまでの顧客理解に不足していた情報も蓄積できる、新たなプラットフォームです。

 また、オフラインで購買した人の属性はわかっても、ペルソナまで落とし込めないというケースがあると思いますが、楽天IDを基にオンラインの情報とオフラインの購買情報を連携させることで、よりペルソナを理解することが可能です。

 最後に、配信の最適化です。どんな人に配信するのか、どれくらいのポイントをバックするのか等について、「Rakuten AIris」というAIエージェントを活用し配信ロジックを最適化していくことも、今後の視野に入れています。

 

「Rakuten Pasha」 3つの機能

 現時点で「Rakuten Pasha」が提供している機能は、以下の3点です。

 1つ目は、「トクダネ」というクーポンです。対象商品の「トクダネ」を、配信対象や、ポイントバック率の上限下限を設定して配信することが可能です。事前にコストを設定した上でマーケティングを実施することができる、成果報酬型の広告商品である点が、「Rakuten Pasha」の特徴です。

 2つ目は、トップバナーと専用LPです。ユーザーに確実に商品を認知してもらうべく、商品にまつわる特徴やストーリーを伝え、理解を促します。画像だけでなく、動画にも対応できるよう準備を進めています。

 3つ目は、レシート送信直後に表示される簡易アンケートである「プチアンケート」です。1つの質問に対して4つの選択肢から回答させるシンプルなものですが、回答率は7割を超えています。スピーディーにユーザーのフィードバックを集めることができる機能です。

 

「Rakuten Pasha」 3つの事例

 これら3つの機能を生かし、どのようなシーンで「Rakuten Pasha」を活用できるのか。事例を3点ご紹介します。

事例1. 食品

 配荷率が低く、味よりも機能的な特徴を謳う機能性食品の事例です。購入者の6割がトクダネを見るまでこの商品を認知しておらず、「トクダネ」をきっかけに初めての購入に至ったという結果が出ています。

 

A社 食品事例

 

事例2. 日用品

 CM等を通じて認知はされているが、高価格のため購買が促進されていないヘアケア製品の事例です。テレビのコンテンツと連動し、「Rakuten Pasha」にも掲載して試し買いのフックを作る試みをしたところ、初回購入者が8割を超えるという結果が出ました。

 興味深いのは、通常ポイントバック率が高いほど「トクダネ」が使われる傾向がありますが、この商品についてはポイントバック率による差異が小さかった点です。このことから、高価格・高付加価値商品は、ポイントバック率ではなく「トクダネ」という試し買いのフックを設けること自体が購買のきっかけにつながっていると推測されます。

 

B社 日用品事例

 

事例3. 飲料

 「Rakuten Pasha」を新たなサンプリング手段として活用した事例です。サンプリングはともすると「ばら撒き」になりがちですが、ターゲットを絞って「トクダネ」を配信することで、狙った対象にのみ購買行動を促すことに成功しました。また、楽天IDに基づいていることで、誰が買ったのか、プチアンケートの併用によりなぜそれを買ったのか、まで判明させることができました。

 この事例では、最大ポイントバック率を79%に設定し、完全に無料にするのではなく一部のお金は払っていただくという形をとったため、ポイント費用を除いた手数料が100円を下回ることができました。「Rakuten Pasha」のユーザー増加に伴いレシートの申請率も増えているため、ターゲットに対する効率の良い新たなサンプリングの形として活用いただけます。

 

C社 飲料事例

 

 

オンラインでできることをオフラインでも当たり前に

 「Rakuten Pasha」は、オンラインでできていたことをオフラインでも当たり前にできることを目指し、デジタルマーケティングに取り組んで参ります。是非お気軽に、ご相談ください。

 

 

山口 高志
山口 高志Yamaguchi Takashi
楽天グループ株式会社 メディア事業 事業開発部
オフラインPPAP開発課 シニアマネージャー


アクセンチュアにて、官公庁・公益事業領域における経営から業務・システム・組織のコンサルティングに7年間従事。2016年3月楽天に入社し、教習所などサービスEC領域などにおける新規事業推進を推進。さらに、コスメサブスクサービス「RAXY」の事業長も兼務し、2018年7月サービスのリニューアルを実施し、サービス拡大中。上記に加え、楽天における新規事業創出プログラム「R-Pitch」にて2018年3月Pasha事業を提案。2018年8月のテスト結果を踏まえ、2019年2月に正式なサービス提供を開始。現在、その事業拡大を図っている。