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事例のご紹介~オムニコマースとプログラマティック領域を中心に


楽天グループ株式会社 ジャパンアドビジネス統括部 広告営業部 ジェネラルマネージャー
中澤 亮

 

オンとオフを橋渡しする楽天のオムニコマース

 楽天のオムニコマースの定義は、「楽天IDをベースとしたオンラインとオフラインのデータを活用し、購買起点でのマーケティングを可能にする楽天のソリューション」というものです。具体的には、広告、特にオフラインにおける販促としてのセールスプロモーションと、「楽天ID」をベースにした対ユーザーのソリューションを指します。

 既に中国ではオンラインとオフラインの区別がない世界になっていると言われています。日本においても、ユーザーの購買やその他の行動からオンラインとオフラインの境目が消える世界がいずれ訪れるのかもしれません。 現在、日本のEC化率はわずか数%と言われており、まだオンラインとオフラインの境目が存在しています。私たちは、その間をブリッジするようなソリューションを提供していきたいと考えています。

 

 

Rakuten Ready~モバイルオーダー&ピックアップ

 

楽天におけるオムニコマースの取り組み

 

 楽天グループが現在アメリカで行っている「Rakuten Ready」というサービスがあります。いわゆる「モバイルオーダー&ピックアップ」と呼ばれるサービスです。

 これは、店舗訪問前に注文と決済を済ませ、店舗では商品の受取りのみを行うものです。通常だと、注文・決済・受取り、それぞれに待ち時間が発生します。しかし「モバイルオーダー&ピックアップ」であれば、ユーザーは待ち時間なしで商品を購入でき、ユーザー体験が向上します。

 アメリカのスターバックスコーヒー様では、「モバイルオーダー&ピックアップ」経由での売り上げが全体の16%を占め、四半期毎のレポートでその比率は1%ずつ増えているそうです。

 「Rakuten Ready」の特徴は、ユーザーの到着時間を正確に把握することが可能なことです。モバイルデバイスのGPSやセンサーなどを駆使して、「ユーザーがあと○分で到着します」といったアラートを店舗に伝えることができます。現在の「モバイルオーダー&ピックアップ」のシステムでは、ユーザーの注文を受けたタイミングで商品を作り始めるため、ユーザーの到着が遅れると温かい商品が冷めてしまうなど、最適な状態で提供できません。

 しかし「Rakuten Ready」では、到着時刻のアラートにあわせて作りたての商品を提供できるため、ユーザーは素晴らしい顧客体験を得られます。さらに、得られたデータを分析することもできるので、「楽天ID」によってユーザー属性を捉えることも可能です。

 

 

シングルIDで実現するオムニコマース

 楽天はユーザーのオフラインの行動を分析することができるソリューションを次々に打ち出しており、ブランド認知から最終的なCRMまで「楽天ID」で一気通貫して管理できる点が強みです。

 その強みを生かしたプロダクトの事例を、3つご紹介します。

 

 

「RMP – Instore Tracking」の事例

 1つ目は「RMP – Instore tracking」の事例です。店頭における実際の購買データを測ることができるサービスです。

 

広告効果の測定方法

 

 具体的な方法としては、まずはユーザーのセグメントを作り、それをランダムに半分に分けます。次に、一方のユーザーには広告を配信しますが、残り半分のユーザーには広告を配信せず、対象期間終了後にそれぞれのユーザー群が特定の店頭で当該商品を購入したかどうかを測ります。そして、それぞれの購入率を比較するといったスキームです。

 その結果、芳香剤を扱う某クライアントさんの事例では、広告接触ユーザーの購買は広告非接触ユーザーの1.2倍でした。また「楽天ID」をベースとしているため、セグメントと照らし合わせた際、どの層に一番ヒットしたのか、どの層の購買リフトが一番高かったのか、という比較検証も可能です。

 

 

「RMP – Omni Commerce」を使った事例①

 

シンプルなポイント体験

 

 2つ目は「RMP – Omni Commerce」で「Super Point Screen」を用いた事例です。これは楽天のポイントを毎日楽しみながらコツコツ貯めることができるアプリで、Andoroidであればロック画面、iOSであれば通知などを通して広告をクリックすると「楽天スーパーポイント」がもらえます。特徴的なのは、Android限定ですが、携帯のロック画面をジャックして広告を配信することができることです。ロック画面をスライドすると「楽天スーパーポイント」が付与される仕組みで、ユーザーは1日あたり平均60回ほどロック画面を解除しますので、その都度リーチすることが可能です。ユーザー数も順調に伸びており、現在は月間アクティブユーザー数130万人で、うちデイリーアクティブユーザーは約65%にのぼります。

 また「Super Point Screen」は、ユーザーの許諾を得て位置情報を取得しており、その情報を活用することで来店促進を支援する広告サービスを展開しています。

 「Super Point Screen」の広告サービスでは、ヒストリカル配信とリアルタイム配信があります。ヒストリカル配信とは、過去にその場所にいたユーザーに対して広告を配信することで、リアルタイム配信は、現在その場所にいるユーザーに広告を配信することです。

 実用例として、メーカー様の展示会における集客事例をご紹介します。展示会開催前は過去にそのエリアにいたユーザーに向けてヒストリカル広告配信を行い、開催中は現在展示会が開催されていることを、例えば徒歩15分圏内にいるユーザーに対し、リアルタイムで広告配信を行いました。「RMP - Instore Tracking」と同様に来店者を広告の非接触者と接触者で比較すると、接触者の来店が93%多かったという結果となりました。また「Super Point Screen」のユーザーは「楽天ID」でログインしているので、ユーザー属性などの分析も行うことも可能です。

 

 

「RMP – Omni Commerce」を使った事例②

 3つ目は「RMP – Omni Commerce」で、「Rakuten Pasha」を使った事例です。これは、まずユーザーが「Rakuten Pahsa」のアプリ内にある「トクダネ」(クーポン)を取得し、商品購入後にレシートを撮影して画像を送付すると、該当の「楽天スーパーポイント」を獲得できるというサービスです。

パシャっとレシートを撮って送ると楽天スーパーポイントがもらえるおトクで楽しいサービス

 

 実際の活用事例をご紹介します。対象になっているのは、小売価格が約200円前後の飲料。付与される「楽天スーパーポイント」は、小売価格の79%の150ポイント。「楽天スーパーポイント」は「1ポイント=1円」ですので、ユーザーは実質約50円でその商品を購入できます。このように一種のサンプリングに近い形で、新商品をお試しいただくくことができます。また「楽天スーパーポイント」の付与率は任意に設定できるので、必ずしもサンプリングだけではなく、店頭で購入を迷っているユーザーを少し後押しする装置としても使えるのではないかと思います。

 「Rakuten Pasha」も、全てを「楽天ID」で管理できる点がポイントです。レシート送付により、ユーザーの属性や、さらにはレシート全体を送付するため、ユーザーが該当商品購入時に他の商品も購入した場合の併売傾向なども分析することができます。現在は年間で約250万枚のレシートが送付されていて、ユーザーのオフラインにおける購買データと行動データをより精緻に分析できるサービスになっています。

 また、楽天グループは映画の製作・配給も行っており、映画でもこれらを活用したマーケティング展開をしています。映画の場合はチケットの半券がレシートの代わりになります。「Super Point Screen」で映画の予告動画を視聴したユーザーを「Rakuten Pasha」に誘導し、映画を見終わった後に半券を写真に撮ってアップすることで、ポイントが付与されるという仕組みになっています。この取り組みは映画だけではなくスポーツのチケットなど、様々なシーンで活用可能です。

 「Rakuten Distribution」が配給している映画「ブライトバーン/恐怖の拡散者」のプロモーションでは、動画広告からタイアップページに誘導しました。映画自体の成功ももちろん重要ですが、この施策のポイントは「楽天ID」を通してタイアップページを訪問してくれたユーザーを分析し、映画という業種・サービスに反応するユーザーのデータを蓄積することです。蓄積したデータは、別の映画の製作時のターゲット設定やコミュニケーションなどにも活用できるのです。

 このように楽天は、集客から購買・アクション・データの分析と活用といった点において、多種多様なツールやサービスを有しています。またそれらを全て「楽天ID」で一元管理することで様々なソリューションを皆様にご提供することができます。私たちはまずクライアントの皆様が今抱えている課題を共有させていただき、本日ご紹介したソリューションの中から最適なものを組み合わせて、ご提案していきたいと考えています。

 

中澤 亮「事例のご紹介~オムニコマースとプログラマティック領域を中心に」

 

 

中澤 亮
中澤 亮Nakazawa Ryo
楽天グループ株式会社 ジャパンアドビジネス統括部 広告営業部 ジェネラルマネージャー


1975年東京都出身。東京大学卒業後、1999年に株式会社博報堂に入社。営業として大手通信会社や自動車会社のブランディングや販促業務を手がけた他、得意先出向、経営企画、海外事業統括を担当。2018年2月楽天株式会社(現楽天グループ株式会社)に入社し、海外事業会社の買収・事業推進を手掛ける。2019年7月より広告主や代理店への広告販売を行う広告営業部を統括している。米国ダートマス大学タックスクール経営学修士。