「Eコマースプラットフォーム=大手ECサイト」?
玉石氏:本セッションは「新時代のEコマースプラットフォーム」というテーマで、異なるバックグラウンドからEコマースに関わられている登壇者の方々に、縦横無尽に語っていただきます。
まず、業界一般的に「Eコマースプラットフォーム」とは「大手ECサイト」を指すことになっているのでは?というのが、一つの課題提起です。もちろん様々な考え方があると思いますが、本日のテーマを語る上で、会場の方々ともEコマースプラットフォームの解釈を一つにしてから始めたいと思います。東條さんご説明いただいてよろしいでしょうか。
東條氏:「Eコマースプラットフォーム=大手ECサイト」。確かにそのとおりですが、最近デジタルコマースを取り巻く状況が変化してきている中で、本当にそれだけで良いのかと感じている方もいらっしゃるかと思います。
スマートフォンの登場により、会社や自宅のパソコンの前に限定されていたデジタルショッピングが、24時間365日手元で可能になりました。寝る前のちょっとした時間や電車に乗っている時など、いわゆる「スキマ時間」にECサイトでショッピングが楽しめるようになったのです。「楽天市場」のセールイベント「楽天スーパーSALE」が始まると、より多くの方々がプラットフォームを利用するようになり、Eコマースは身近なものになりました。
玉石氏:東條さんは長らくEコマースの業界に身を置かれていると思うのですが、実務の内容も変化してきましたか?
東條:「楽天スーパーSALE」が始まった頃から、それまでは明確にしづらかった年間計画におけるPDCAが回しやすくなり、リズムができてきたように思います。
さらにその後スマートフォンが広く普及しSNSが一気に浸透したことで、「多様な商品を安く早く提供する」という従来のEコマースの課題が、「消費者の生活を良くするモノを、いかに心地よく提案していくか」に変化したと感じています。
玉石氏:紺野さんにお伺いしたいのですが、この1年の間にもメーカーさんからの期待値や向き合い方に変化を感じますか?
紺野:自社のオウンドメディアから、楽天を含めたEコマースプラットフォーム側に事業の軸足を移す企業さんが増えています。百貨店で買い物をする時と、ドラッグストアやスーパーで買い物をする時とではその目的が異なるように、オンラインでも棲み分けができつつあると思います。デジタル上での消費行動は今後も間違いなく増えていくだろうと感じています。
玉石氏:東條さん、消費者側の考え方の変化は感じますか?
東條氏:消費者側も、デジタルに接触する時間が増えたことにより情報取得方法に変化があったと思います。インターネットとスマートフォンという検索環境が整い、自分が欲しいタイミングで何でも検索ができるようになりました。ただのその一方で、情報過多により情報を見るのが面倒に感じたり、選択肢が多すぎて何を選んで良いか分からなくなったりする消費者も出てきました。
その結果、自分の信頼できるモノをおすすめしてくれるメディアを信頼・重視するようになり、消費者主導の時代になったといわれています。