日本におけるデータ活用の課題
玉石氏:濱野さんは普段から中国のEコマース事情に精通されつつ、ソーシャルなインサイト分析もされていると思うのですが、日本の国内メーカーさんが参考になる事例はありますか。
濱野氏:データの活用という点において、日本ではまだやりようがあると思っています。
例えば、ECサイトのコメントデータをマーケティングに還元するという点が、サイクルとして回っていないのではないかと思います。データの活用というと、どのようにしてコンバージョンを上げるのか、どのようにして露出を増やすのか、という観点で使われがちです。
中国での事例を一つご紹介すると、某化粧品メーカーさんは、ECサイトのコメントをビッグデータとして集めています。ECサイトのコメントは消費者のコメントですから、消費者視点でモノを開発する際にパネルデータよりも消費者のインサイトがみえてきます。そのデータを商品開発に還元したり、機能開発や価格設定などのマーケティング戦略に活用したりしています。
玉石氏:同様にECサイトのコメントやソーシャルメディアのデータを分析して結果を出したい、という企業は非常に多いと思います。特に大事な点やつまずきやすい点はありますか?
濱野氏:日本では中国ほどソーシャルメディアが普及していないというのが一つの課題だと思っています。どれだけノイズを省けるか、そこからどのようにしてインサイトを導くかという点で、マーケッターの方々が読み取れずに終わってしまい、データを分析・活用しきれていないケースが多いのではないでしょうか。しっかりと分析できれば日本のデータも問題なく使え、活用する価値が十分にあります。