AIエージェントが、見込み”顧客”をみつける
前述「3」の観点から、「楽天のデータを使って AI エージェントが見込み顧客を見つけるというソリューションができないか」と考え製品化したのが、「Rakuten AIris」です。
例えばある商品を買っている人が5万IDいるとします。まず、その5万IDの購買行動を機械学習します。そしてそのモデルを作ることで、約9,900万の楽天ID全体の中から同じような購買パターンを見つけることができるというものです。
そして抽出された同様の購買パターンを持つ人に向けて、広告を届けた方がより買ってもらえるのではないか、というのが私たちの仮説です。
事例をいくつかご紹介します。
まず、一番精度が高いと考えられる「3」の「購買」+「ユーザーID」と、「1」の「検索+「Cookie」を比較した事例です。ある製品を買った人がいます。「Rakuten AIris」で「楽天市場」での購買データを使って行動が似ているユーザーを特定しました。他方、検索データを使って他社のアルゴリズムで似ているユーザーを特定しました。それぞれ特定したユーザーに対し DSPで広告を配信したところ、「Rakuten AIris」を用いて特定したユーザーのコンバージョンレートは、そうでない場合と比較して約4倍という結果がでました。
次の事例は継続利用してくれる顧客の発見です。
これは「楽天ミュージック」での検証結果です。「Rakuten AIris」は、アルゴリズムが見つけた、3ヶ月以上の継続利用者と行動が似ているユーザー。そして比較対象は、過去にCDを購入したことがあるユーザーのセグメント。それぞれに対して広告を配信した結果、獲得した新規ユーザーの3ヶ月後の継続率は、CD 購入ユーザーと比較して「Rakuten AIris」が見つけたユーザーが約3.6倍という結果となりました。
最後は、楽天の特徴を生かした事例です。
私たちは、「楽天市場」で購入したものをお届けするため、住所情報をお預かりしています。そのため、ユーザーの許諾をいただいたうえで、オンラインの広告だけでなくダイレクトメールを送付することも可能です。
「Rakuten AIris」で見つけ出した楽天モバイル契約者と購買パターンが似ているユーザーと、楽天会員ランクが高いユーザーそれぞれにダイレクトメールを送りました。結果は、「Rakuten AIris」で抽出したユーザーのコンバージョンレートが3.6倍でした。
このように、効果を示す実績が次々に生まれています。一刻も早く「AI が理解して、人間に結果を教えてくれる」段階を実現し、マーケッターの皆様に様々な場面で活用いただけるAI ソリューションに育ててまいりますので、「Rakuten AIris」の今後に是非ご期待ください。