update

世の中の全てのスマホアプリへ捧げる 最強のユーザリテンションマーケティング 1か月後のユーザ残存率10%でいいんですか!?


Rakuten Asia Pte.Ltd. Grobal AD Product Strategy Dept. ディレクター、ジェネラルマネージャー
石角 裕一

 

71%のアプリユーザーは90日以内に離脱してしまう

 本日は「1か月後のユーザ残存率10%でいいんですか!?」というテーマでお話をさせていただきます。

 初めにご紹介したいのは、アプリユーザーのダウンロード初月、1か月後、2か月後、3か月後と、月間継続利用率調査の結果です。リテンションの定義は、「30日以内に1回以上再訪問した場合」と比較的達成しやすいものとなっています。

 

71%のアプリユーザは90日以内に離脱してしまう-アプリユーザの継続利用率調査

 

 ダウンロードした初月は、当然全てのユーザーが使用するため100%です。ところが1か月後になると早くも半数以上が離脱してしまい43%、2か月後には34%まで減少します。そして3か月後には3割を切り29%のユーザーしか継続利用してくれていないという結果になっています。

 

 

1か月後のデイリーアクティブユーザーは10%以下

 さらにデイリーのアクティブユーザー数でみると、ある調査では初日に31.7%、1週間後には14.2%、30日後には6.8%しかユーザーが残っていません。別の調査でも似たような結果で、1週間後には20%を切り、1ヶ月後には10%という継続利用率になっています。

 新規ユーザーを獲得するのは非常に重要ですが、時間とコストを費やして懸命に獲得したユーザーがかなり早いペースで減ってしまっているというのは、非常に好ましくない状況であると考えています。

 

 

毎日2時間半利用されているアプリ

 他方、スマートフォン自体は1日あたり平均3時間ほど使用されています。そして、その84%(約2時間半)は何らかのアプリが使用され、今後5Gの時代を迎えるとさらにその比率は増えるといわれています。

 しかし5Gになったとしても、1日は24時間しかないため、3時間というスマートフォンの利用時間そのものが急増することはないと思います。そうすると、新たにリリースされるものも含め、この3時間もしくは2時間半という限られた時間内に使用されるアプリの座を巡り、熾烈な争いが繰り広げられるのではないでしょうか。

 ユーザーが毎日1回以上使うアプリは、メッセンジャーのソフトやメールなど、平均8個ほど、月に1回以上使うアプリは約31個だといわれています。つまり熾烈な争いに勝ち抜くには、どのようにして自社のアプリをベスト8の枠もしくはベスト31の枠に入れるかということが重要になると思います。

 

 

「RMP - For Apps」が作るWin-Win-Winの関係

 楽天には「RMP - For Apps」という商品があります。私が所属するシンガポールのオフィスで開発しているのですが、最近の分析で、ユーザーのリテンションに非常に高い効果があると実証できました。

 まず「RMP - For Apps」とは何かを簡単にご説明すると、スマートフォンに組み込む SDK(Software Development Kit)です。キットになっていますので、比較的簡単にアプリの中に組み込むことができます。例えばアプリ側で指定したアクションを行ったユーザーには、そのアクションに応じた「楽天スーパーポイント」が付与されるといった仕組みを構築することも可能です。

 アプリ側は「楽天スーパーポイント」を獲得するプロセスにおいて広告が表示されますので、そこで生まれる広告収益でユーザーに付与する「楽天スーパーポイント」の費用をカバーすることができ、なおかつユーザーのリテンション効果を担保できる商品となっています。

 

RPM - For Appsがそれを解決!

 

 こちらの画像が「RMP - For Apps」を利用したサイトの画面の一例です。ユーザーがアプリ毎に設定されている「毎日起動でポイント」などのミッションを完了すると、「楽天スーパーポイント」を獲得することができます。「楽天スーパーポイント」獲得後に広告を自然な流れで表示するため、効果的なアクションが期待出来ます。また、広告は楽天データと結びついた非常にターゲティング精度の高いものになっています。

 アプリ側は、高い広告収益を得られるうえユーザー継続使用率が改善でき、ユーザーは「楽天スーパーポイント」を獲得することができ、広告主は楽天データで高い効果を得られます。つまりWin-Win-Winの関係になると考えています。

 

 

「RMP - For Apps」で継続利用率が1.6倍に

 具体的なアプリ側の効果を計測するため、楽天のあるアプリで「RMP – For Apps」のツールを使用したユーザーと使用していないユーザーの追跡調査を4か月間行いました。

 その結果、ツールを使用しなかったユーザーの継続利用率は、1か月後には79%、2か月後には46%、3か月後38%となり、4か月後は35%となりました。

 一方、ツールを使用したユーザーの継続利用率は、1か月後は79%、2か月後は67%、3か月後は60%、そして4か月後の残存率は56%と、ツールを使用していないユーザーの約1.6倍の継続利用率となっています。

 

RMP - For Apps活用によるパフォーマンス改善事例

 

 こちらの図は別のアプリでの実験結果です。アプリインストール後10日間の、「RMP – For Apps」のツールをオンにしていた場合とオフにしていた場合の削除率の比較になります。オフにしていた場合は削除率が18%であるのに対し、オンにしていた場合は4%まで軽減されています。

 同様にインストール後10日の間に当該アプリが再び起動された比率は、オフにしていた場合は35%、オンにしていた場合は83%となっています。

 この結果は、「RMP – For Apps」がこれまで施策を立てづらかったユーザーのリテンションに対する突破口になることを示しているのではないかと考えています。

 

 

楽天IDを活用して広告を配信する強み

 続いて広告主の視点で見た場合です。「RMP – For Apps」は、「楽天スーパーポイント」をユーザーに付与するツールですので、ポイントを受け取る時に必ずユーザーは楽天IDでログインする必要があります。

 他社にも同様の仕組みを持つSDKはいくつか存在するのですが、楽天の場合は、ユーザーが楽天IDを使用してログインした瞬間に、そのID紐付けられた膨大なデータを活用し、非常に精度の高い広告を配信することが可能です。

 この点が、「RMP – For Apps」の持つ最大のアドバンテージではないかと思います。

 現在、楽天は2018年には年間約2,500億ポイントをユーザーに対して発行しています。この2,500億ポイントという額は、他の主要ポイントサービスと比較すると圧倒的なポイント数です。「楽天スーパーポイント」が、年齢、性別を問わず多くのユーザーにとって魅力的なポイントサービスであるということを示しています。

 

 

ユーザーの離脱を防ぎ、上位8個、もしくは31個のアプリになるために

 本日お伝えした要旨は以下になります。

1. 70%のユーザーは90日以内で消滅
2. DAUレベルでは30日で5~10%の残存率
3. 毎日利用はトップ8のアプリ、毎月利用はトップ31のアプリ
4. 「RMP – For Apps」で継続使用率は1.6倍、削除率は1/4、2回目起動は2.3倍
5. 楽天データの活用による広告効果
6. 「楽天スーパーポイント」によるマーケティング効果

 毎日利用されるアプリは上位8個しかありません。手間暇を掛けてアプリを開発し新規ユーザーを獲得したとしても、90日以内に70%が離脱し、DAUレベルでは30日後には5~10%しか継続利用してくれていません。

 ユーザーがスマートフォンに接する時間が1日のうち2時間半と限られている中で、自社アプリを毎日利用される上位8個に入れること、もしくは月に一度は利用される31個に入れることが非常に重要だと思います。

 そのためにも、私たちがご提供するツールで、その施策をお手伝いさせていただければと考えています。

 

石角 裕一「世の中の全てのスマホアプリに捧げる最強のユーザリテンションマーケティング 1か月後のユーザ残存率10%でいいんですか!?」

 

 

 

石角 裕一
石角 裕一Ishizumi Yuichi
Rakuten Asia Pte.Ltd. Grobal AD Product Strategy Dept. ディレクター、ジェネラルマネージャー


2000年に楽天株式会社(現楽天グループ株式会社)へ入社後、楽天市場の営業、広告、UI/UX、事業開発を経て、2017年よりシンガポールのRakuten Asia Pte. Ltd.へ赴任。日本だけでなく、グローバルでの広告プロダクト戦略、プロダクト開発に従事。