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購買データをベースにしたプログラマティックが
驚異のパフォーマンスを実現!
~RDN(Rakuten Data Network)の全貌が今明らかになる~


楽天グループ株式会社 グローバルアドディビジョン プログラマティックプロダクト開発部 ジェネラルマネージャー
香村 竜一郎

 

「RDN (Rakuten Data Network)」のコンセプト

「RDN (Rakuten Data Network)」のコンセプト

 

 一本の糸も、この写真のように網の目状に蜘蛛の巣のようにつなげると、非常に強くなります。私たち楽天は、データでも同じことがいえると考えています。それが「RDN (Rakuten Data Network、以下「RDN」)」というコンセプトです。

 他のプラットフォーマーでも「○○DN」等があるかと思いますが、「RDN」は少し違います。データネットワークということで、私たちはデータにフォーカスをしています。

 楽天で最も重要なアセットはデータだと考えています。楽天は購買データなどの消費行動分析データを非常に多く蓄積しています。その1億以上の会員と、そのデータに基づいたネットワークを構築していこうというのが、この「RDN」という構想になります。

 具体的に、どのようなデータをつなげていくのかについては後述しますが、当然これをマーケティングや広告の配信に活用していくのが直近の取り組みになります。

 

 

新たな配信が可能に

 まず近々可能になることを、一つご紹介いたします。ご存知の方もいらっしゃると思いますが、楽天は運用型広告(DSP)として「RMP - Trading Desk」をご提供しています。このサービスは様々なサードパーティーのDSPを使わせていただき、その上で楽天データを活用した運用をさせていただくというソリューションです。

 

Supership社の提供するDMP、Fortunaと連携することで、楽天データを用いて今までアプローチできなかった配信面へのアプローチが可能になります。

 

 2019年7月から、Supership様の「Fortuna」というDMPと連携をさせていただきました。それを機に可能になったのは、ソーシャル、しかもモバイルに非常に強い広告配信です。

 パフォーマンス広告の配信プラットフォームである「RMP - AdRoll」は、6月に楽天のDMPとの連携を開始しました。これまでもリターゲティングが強い配信プラットフォームだったのですが、それに加えて、楽天のDMPにおける消費行動分析データに基づいたセグメントを利用できるようになりました。

 一般的には、セグメントを切ってターゲティングをしようとすると、先細りをしてしまいスケールさせることが難しくなります。しかし「RMP - AdRoll」の拡張機能をうまく組み合わせれば、効果の高いセグメンテーションをシードとして拡張配信することで、そのセグメントと似たユーザーを外から探してくることが可能になります。

 

 

楽天の持つデータの強みとは

 冒頭から楽天のデータについて言及していますが、実際にどのようなデータなのかを改めてご紹介します。

 会員データですので会員ランクや家族構成などの基本属性があり、その属性をセグメントとして利用していただくことが可能です。

 その中でもやはり私たちの一番の強みは、実際の購買に基づいた購買データです。いつ何を購入したのか?どのくらいの頻度で購入したのか?これから何を購入したいと思っているのか?という、購買に基づく様々なデータを蓄積しています。

 私たちは、これらを活用することによって購買に基づくインテンションが分かると考えています。もちろんインテンションは、他社で検索を使って分析したり、興味関心、友人知人とのつながりから測ったりする方法もあります。ただやはり最も購買に近いインテンションというのは、実際の購買に基づいたデータを活用することで見えてくるのではないかと考えています。

 例えばテレビを購入したとしましょう。そのテレビの特殊な使い方を確かめようと「メーカー名_テレビ」もしくは「メーカー名_品番」というキーワードで検索をした場合、そのテレビを売っているサイトの広告が検索結果に数多く出ると思います。オンラインで何かを購入した際も同様で、購入後に移動したページについさっき買ったばかりの商品が大量に広告枠を独占するということは、皆様も体験されているのではないでしょうか。

 しかし、購買したことが確実に分かっていた場合には、その商品の広告を表示させないことが楽天では可能です。代わりにそのテレビに関連するアクセサリー商品や、その人の興味関心をベースにした、テレビで見られるコンテンツの広告を表示することもできます。これはユーザーにとっても良いエクスペリエンスですし、広告主にとっては無駄な配信を抑制した効率の良い、そして効果の高い広告の配信ができることになります。

 

 

オフラインの購買データをどう活用するか

 楽天はオフラインデータも積極的に活用しようと考えています。私たちには「楽天ポイントカード」をオフライン店舗でご活用いただくパートナー企業様もいらっしゃいます。そのパートナー様と連携しながら、オフラインデータを蓄積しています。

 また、同時に独自での取り組みも行っています。「Rakuten Pasha」というサービスがその一つです。「Rakuten Pasha」では、日々どのような商品を、どのようなユーザーが購入しているのかというデータを、レシートを通して蓄積することが可能です。今年始まったばかりのサービスではありますが、すでに200万件以上のデータがあります。

 「Rakuten Pasha」の強みは、レシートのデータであることです。レシートは、ユーザーがどこで何を買っても、発行されます。それらはロイヤリティプログラムや流通の系列に紐付いたデータではありません。そのためユーザーが増えれば増えるほど網羅性が高まり、データの優位性もより高まっていくと考えています。

 今、オフラインでサンプリングをされている企業様も多いと思いますが、そのようなサンプリングも、この「Rakuten Pasha」のデータを使いオンライン上で手軽に、手間なく、効率よく行うことができるという施策も用意しています。この施策を上手く活用しながら、さらにそれをオンラインの広告にもつなげていく取り組みも準備中です。

 また、購買データだけではなく、オフラインのメディア接触データの活用も重要です。今の日本では、マーケティングにおいてオフラインとオンラインの両方をうまく活用することが必要だと考えています。

 そのため、オフラインのメディア接触のデータも、私たちは活用していこうと考えています。加えて、例えばオフラインでのメディア接触に合わせたオンラインでの広告配信や、DOOH(デジタル屋外広告)への活用も視野に入れています。

 

 

「RMP - AdRoll」で実現した事例

 では、現時点で何が可能なのかについて、「RMP - AdRoll」で実現した具体例を二つご紹介いたします。

 

ケーススタディ:美容系広告主が動画広告を配信

 

 まずは美容系の広告主様のケースです。動画広告の配信に際し、楽天IDのセグメントによるターゲティングをしていただきました。動画広告ですので視聴完了率でパフォーマンスを計ったところ、セグメントをしなかったケースと比較すると、約9倍となる52%の方々が視聴を完了していました。

 もう一つのケースは、ある消費財のメーカー様で、「楽天市場」で販売している商材の購買促進プロモーションでした。「楽天市場」の店舗様向けにプラットフォームを提供していたため、そこで蓄積していたデータを活用しました。「楽天市場」で類似の商品を購買しているユーザーのリターゲティングとオーディエンス拡張を実施したところ、データを活用していない広告より1.3倍CVRが上昇し、検索広告に次いでCVRが高く、ソーシャルやEメールの広告よりそれぞれ5倍、11倍CVRが高いという結果が出ました。

 冒頭でも申し上げましたが、弊社はデータとデータをつなぎ合わせることにより、蜘蛛の巣のようにパワフルなデータネットワークを作ることができると考えています。楽天IDにオフラインの様々な情報をネットワーク化してつなげることで、より強固なデータ網を作ります。

 

Ultimate goal of Rakuten Data Network

 

 図は、どのように情報をつなげるかというソリューションの簡単なアーキテクチャです。プログラマティックに活用できるよう、当然データが中心になります。そのデータを自在に活用できるようデータをマネージするプラットフォームが中央部分にあり、その左右にデマンド、サプライが位置します。

 このソリューションは、もちろん広告配信にも使用したいですし、プランニング機能や分析機能も入れていきたいと思っています。

 

 

さらに活用しやすい「RDN (Rakuten Data Network)」へ

 データを活用して配信することで広告の効果が高まり、同時にそれはメディア様やパブリッシャー様の広告枠の収益性向上にもつながります。「RDN」上のデータを活用して、広告主企業であれば配信する広告の効果、パブリッシャー企業であれば自社メディアの収益化の最大化を実現するサービスを提供していきたいと思います。

 様々なデータを楽天の会員データと連携させ、様々な企業がそれを活用できるプラットフォームを作っていく――その構造が「RDN」になります。

 今後の更なる「RDN」の開発にご期待ください。

 

香村 竜一郎「購買データをベースにしたプログラマティックが驚異のパフォーマンスを実現!~RDN(Rakuten Data Network)の全貌が今明らかになる~」

 

 

香村 竜一郎
香村 竜一郎Komura Luciano
楽天グループ株式会社 グローバルアドディビジョン プログラマティックプロダクト開発部 ジェネラルマネージャー


消費財やオンライン広告での営業マネジメントや店舗運営などの経験を経て、Google日本法人に9年間勤務。日本を含む、オーストラリア、ニュージーランドの新製品およびソリューション担当執行役員として市場の拡大に寄与。その後AdRoll日本法人の立ち上げに参画、2015年3月のAdRoll株式会社設立発表と同時に代表取締役社長に就任し、事業開発、営業戦略のみならず、顧客視点のデジタル広告ソリューションの啓蒙と普及に努めている。