―20年以上、日本のIT業界を牽引してこられた有馬さんから見て、楽天の広告の強みやポテンシャルはどういった点だと思われますか?
インターネット広告の強い・弱いを何をもって語るかによりますが、やはりページビュー(PV)の多さではないかと。わかりやすい規模の価値ですね。楽天はその規模がとにかく大きい。楽天=広告媒体という風に見られていない側面もありますが、日本では常に10位以内、世界的に見ても上位のPV数を誇っています。これが一つ目の強みです。
二つ目は、これが最たる強みですが、実際に物が売れる場であるということ。これは検索やコミュニケーションを主目的とする他のプラットフォーマ―との決定的な違いです。PV数だけなら楽天を上回るプラットフォーマ―もいますが、買うという行為はもっとダイレクトで、一口にPVと言っても非常に密度が濃い。それがすべて楽天IDと紐づいているので、住所、年齢、購買履歴といった細かいデータとして残っている。今や引越したらまず楽天の登録情報を変更すると言われているくらい、楽天のIDデータは常にアップデートされている。それが9200万ID(2017年6月現在)もあるわけです。これは非常に大きな価値だと思います。
―このような強みや価値は、今後さらに楽天が広告業界の課題やニーズに応えていく上でどのように働くでしょうか?
これだけモノが売れにくい時代に、マーケティングや広告宣伝をどうやっていくのか。これはすべての企業が抱える課題です。年々難易度が上がっていると言ってもいい。そんな中、7月に新たなマーケティングソリューションを提供する楽天データマーケティング株式会社の発足を発表し、10月より営業を開始しました。既に相当数のクライアントや代理店とお会いしましたが、新会社が提供しようとしている『データ』と『場』を最大に活用したソリューションに対して、非常に大きな関心を寄せていただいています。我々とタッグを組んで新しいマーケティングにトライし、その結果を元に自社マーケティングプランを組み立てて、さらに展開させていきたい。そういう声を早くもいただいており、反響の大きさに驚いているくらいです。